オミクロン株:なぜこのような混乱を招いているのか?
英国GAMA Healthcare R&D のブログより転用
2021年11月30日投稿の記事
研究/RESEARCH
今回は、COVID-19の新たな懸念される変異体(VOC:variant of concern)であるオミクロン株に関する最新の勧告をご紹介します。オミクロン株が最初に出現した場所、他の変異株よりも感染力が強いのか、ワクチン接種はオミクロン株に対して有効なのかどうかについて説明します。
COVID-19の新しい変異株(VOC)、「Omicron(オミクロン)」株が登場したことをご存知でしょうか。現在、多くのメディアに取り上げられています。
では、この変異株の何が問題なのでしょうか?現在のところ、世界保健機関(WHO)は、この変異株による症状が、他の変異株に比べて異なることを示す情報はないとしています。現在行われている検査は有効であると考えられており、この変異株が他の変異株に比べ感染力は強いのか、また、ワクチンや過去のCOVID感染による免疫がどの程度有効であるかを解明することに注力しています。
WHOの最新情報はOmicron updateページをご覧ください。
■ オミクロン株はどこで出現したのか?
オミクロン・VOC(別名:B.1.1.529)は、ここ2、3ヶ月の間に南アフリカやその他の近隣諸国で発生したようです。英国でも少数の症例が報告されていますが、これは氷山の一角である可能性が強く示唆されています。これを受けて英国政府は、このVOCの英国内への持ち込みを制限するため、いくつかの新しい渡航制限とプロセスを課しました。
■ オミクロン株の感染力は強い?
オミクロン株によるCOVID-19の臨床疫学については、まだあまり情報がありません。南アフリカからの最初の報告によると、主な症状は今までの変異株と大差なく、ウイルスの病原性が高いということもないようです。
しかし、このウイルスの感染力は高まっているようです。その理由はまだ明らかになっていませんが、ウイルスの外表面のタンパク質が変化したためではないかと考えられています。つまり、ウイルスの感染経路は変わらないと考えられます。主な感染経路は、長時間にわたる密接な接触と、感染性ウイルスを含む呼吸器粒子の共有です。
つまり、感染拡大を抑えるための重要な対策は、マスクの着用、頻繁な手指衛生、環境衛生、換気という点で今までと変わりません。
■ ワクチン接種はオミクロン株に対して有効か?
COVID-19のワクチン接種はオミクロン株に対する有効性が低いというエビデンスがありますが、ワクチン接種は受けるべきあり、オミクロン株やその他の変異株から身を守るための最善の方法です。
昨日、予防接種合同委員会(JCVI:Joint Committee on Vaccination and Immunisation)*は、COVID-19ワクチンのブースター接種に関する勧告を更新しました。これにより、18歳から39歳までの人も、NHSによる指示であればブースター接種を受けることができるようになりました。
*予防接種合同委員会(JCVI:Joint Committee on Vaccination and Immunisation):英国における予防接種に係る評価・検討を行う組織
JCVIのCOVID-19予防接種担当委員長であるWei Shen Lim教授は次のように述べています。
「ワクチンのブースター接種を受けることで、オミクロン株に対する防御レベルを高めることができます。これは、私たちの生活、特に今後数ヶ月の間に、この変異株の影響を軽減するための重要な方法です」。
今後もデータが続々と発表され、日々多くのことが解明されています、重要な情報については随時お知らせしていきます。
Dr. Phillip Norville
Clinical & Scientific Director, GAMA Healthcare