UV-C照射と紫外線遮蔽反射ユニットの併用によるカルバペネム耐性エンテロバクター・クロアカおよびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対する病室除菌の増強効果
Enhanced Effect of Patient Room Disinfection Against Carbapenem-Resistant Enterobacter cloacae and Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Using UV-C Irradiation in Conjunction with UV-C Containment Unit
掲載元:Antibiotics 2024, 13(12), 1115
掲載日:2024/11/22
URL:https://www.mdpi.com/2079-6382/13/12/1115
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今回は、紫外線照射システム「UVDI-360」と紫外線遮蔽反射ユニット「UVCCU」(UV-C Containment Unit)の併用に関する東北大学とモレーンコーポレーションの共同研究をご紹介します。
最近では、紫外線(UV)や過酸化水素蒸気システムなどの「非接触」環境除菌法が、従来の手作業による清掃の補助として導入されています。UV-Cは、光が直接届かない影の部分では効果が低い可能性があります。また、UV-C曝露リスクのために、UV-Cデバイスを使用する際は、使用者と患者の両方が照射エリアから離れている必要があります。
このように、多床室の特定部分の照射が難しいという課題を解決するために、紫外線遮蔽反射ユニット「UVCCU」が開発されました。
本研究は、下記の二つを評価することを目的としました。
(i)UV-C照射システムUVDI-360を使用したUVCCUの有無によるカルバペネム耐性エンテロバクター・クロアカ(E. cloacae)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のコロニー数の対数減少値
(ii)UVCCU遮蔽領域外への紫外線の漏れ
東北大学病院のモデル病室で、カルバペネム耐性E. cloacaeとMRSAを接種した寒天培地を、ベッド周辺の直接表面と間接表面の複数の場所に設置しました。UVDI-360によるUV-C照射後のコロニー形成単位の対数減少値を、UVCCUの有無により比較しました。
結果、UVCCUを使用した場合、UVCCUなしの場合と比較して、影になっている領域(間接表面)でMRSAコロニー数が有意に減少しました(対数減少値 UVCCUあり:2.7[2.7–2.8]、UVCCUなし:0.6[0.5–0.7]、p<0.01)。さらに、UVCCUの使用により、周囲環境への紫外線漏洩が規制範囲内に抑えられました。
以上の結果から、UVCCUを積極的に活用することで、影部分を含む患者周囲の環境表面の除菌効果が向上することが示唆されます。また、UVCCUを使用することで、多床室の特定部位に、他の患者を移動させることなく、部分的かつ効率的にUV-Cを照射することが可能になることが期待されます。
※本試験は、UVDI-360とUVCCUを組み合わせて使用した場合の結果です。他社の紫外線照射装置でも同様の結果が得られることが期待されますが、未検証のため不明である点にご注意ください。