第12回日本感染管理ネットワーク学会
「ICNが果たすべき組織マネジメント」
イブニングセミナーレポート
2024年5月31日、モレーンコーポレーション(以下モレーン)は第12回日本感染管理ネットワーク学会学術集会において、組織マネジメントに関するイブニングセミナーを開催しました。
本セミナーでは、モレーンが医療従事者の方々との情報交換を通じ、より顕在化した「組織づくり」の課題に焦点を当て、院内で1on1ミーティングに取り組み、成果を挙げられた経験を持つ医療法人渓仁会の森河琴美先生をお招きし、組織マネジメントの重要性についてお話を伺いました。
◾️セミナー概要
日時 :2024年5月31日(金) 18:00 ~ 18:50
テーマ: ICNが果たすべき組織マネジメント
演者:医療法人渓仁会法人本部 看護・介護担当部長 森河琴美先生
座長:大阪大学医学部附属病院 看護部 副部長 感染管理認定看護師 鍋谷佳子先生
◾️セミナー開催の背景
森河先生は管理職が直面する組織マネジメントの課題に向き合うため、1on1ミーティングを導入しました。当時の取り組みは、書籍『1on1ミーティング「対話の質」が組織の強さを決める』(著者:本間浩輔)で紹介されています。
モレーンは「1on1が感染管理認定看護師の方々にも有益である」と考え、登壇を依頼したところ、快くご快諾いただき、今回のセミナーが実現しました。
◾️セミナーの主要テーマとポイント
森河先生の講演は、「エンゲージメントが高い組織は感染管理に優れている可能性がある」という提起から始まりました。
特に「人のマネジメントは“関係の質”から始める」というお話は、多くの参加者に新たな見解を提案し、今後の業務の参考にしていただける場面もありました。
ポジティブな職場環境やエンゲージメントは、感染成立3原則の内「宿主」の免疫や抵抗力に影響を与える可能性がある、といったお話もモレーンが行うエンゲージメントサービスに対する大きな励みとなりました。
【主要テーマ】
1, ワーク・エンゲージメント
・ワーク・エンゲージメントの3要素「活力・熱意・没頭」の重要性について
・COVID-19パンデミック下での看護師のワーク・エンゲージメントとその影響
2, 組織マネジメント
・多様性と不確実性が増すVUCAの時代、求められるチームワークの質
・認定看護師教育と感染管理
・プレイヤーからマネージャーへの移行に伴う課題
・組織マネジメントを理解することのメリットについて
3 ,「人」のマネジメント“関係の質”から 始めよう
・成功には循環モデルがある
・関係の質を改善するのは「対話」である
4, 1on1ミーティング
・1on1ミーティングを通じて関係の質を高める方法
・1on1ミーティング始めたきっかけ、効果
・結果より「関係の質」を重視するアプローチを
5, 仕事は楽しく‐思考のくせ‐
・仕事を楽しむための思考法、視点を変えることやメタ認知の重要性
・関係の質(対話)から組織マネジメントは始まる
◾️「関係の質」を重視するアプローチについて
結果重視のアプローチは短期的な成果をもたらすかもしれませんが、長期的には組織の疲弊を招きます。
一方、「関係の質」を重視すると、相互理解が深まり、心理的安全性が向上します。これによりメンバーの自発的な行動や良質なコミュニケーションが生まれ、思考・行動・結果の質が上がります。その結果、ポジティブな循環が生まれ、大きな成果につながります。
この好循環を生み出す第一歩が「1on1ミーティング」です。
1on1 の目的は相手をよく知り、その価値を理解することにあります。
指導や決めつけをするのではなく、「あなたならどう思うか?」と問いかけをすることが重要です。
主役は聞き手ではなく、話し手である相手自身です。
まずはその相手を受け入れ、理解することが大切です。
◾️セミナー当日の反響
セミナー当日、会場は満席となりました。
森河先生の専門的な知識と経験、洞察力に基づいたお話、聞き手に語りかけるような話し方は、多くの参加者から高い評価を受け「目からウロコ」「さらに詳しく聞きたい」との声が多く寄せられました。
今後もモレーンは感染対策をさらに進化させるべく、組織マネジメント向上に貢献する活動にも積極的に取り組んでまいります。