「診療報酬」とは? (これまでの変遷)
■「診療報酬」とは?
診療報酬とは、医療機関がサービスに対する対価として受け取る報酬のことです。
提供されるサービスは全て点数化されており、「1点=10円」で計算されます。(例えば、初診料288点の場合2880円支払われることになります)
診療報酬のうち、原則3割は患者が自己負担分として支払います。残りは加入している保険者によって審査支払機関を通して支払われます。
また、社会状況に適切に対応していくため、2年に一度改定されます。
■ 診療報酬改定の歴史
1996年に診療報酬上で初めて感染対策費として「院内感染対策防止加算」が新設されました。 院内感染対策防止加算という名称ではありますが、要件はMRSAに限っての内容であり、当時のMRSAの影響力の大きさが示唆されています。 次の改定の4年間までに人材の育成や、サーベイランス等が開始されました。
2000年、院内感染対策は全ての施設で行われるべきものであり、実施していなければペナルティという考え方に基づき、未実施5点減算へと転換されました。
2006年には、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律が成立し、医療の安全の確保と質の向上のための措置が求められました。 院内感染対策については、病院や診療所等の全ての医療機関に対して体制確保が義務となり、法令遵守事項として位置づけられています。
診療報酬改定における院内感染対策としては、未実施減算は廃止され、入院基本料の一つとして1996年の基準よりも、より詳細に内容が示されました。
2010年の診療報酬改定により、院内感染防止対策を評価する新たな点数として、「感染防止対策加算」が新設されました。あくまで医療安全対策加算の連動点数として位置づけられていますが、 点数は大枠の医療安全対策加算より高く、感染防止対策の重要性に対する評価が高まった、あるいはコストのかかる感染防止対策に対する正当な評価が行われるようになったと考えられます。 また、初めて感染対策防止チームの活動内容に職種が規定され、抗生剤の適正使用に向けて、体制が整えられました。
2015年世界保健総会では薬剤耐性(AMR)に関するグローバル・アクションプランが採択され、適切な薬剤使用が求められるようになりました。 2018年の診療報酬改定では、薬剤耐性(AMR)対策として抗菌薬適正使用加算が追加され、新たな耐性菌の発現を抑制し、 薬剤耐性の微生物による合併症等を減少させるための対応が医療機関に求められました。
2020年に発生した新型コロナウイルスのパンデミックにより、感染対策がさらに見直されました。 今回の改定(2022年)では加算名称の変更、外来感染対策向上加算、連携強化加算・サーベイランス強化加算の新設など多くの変更が加えられました。