医療従事者における手指表面の被覆に関する2種類のアルコール手指擦式法の比較:準ランダム化比較試験
掲載元:Antimicrobial Resistance & Infection Control https://aricjournal.biomedcentral.com/
掲載日:2022年11月3日
今回は2022年11月3日、Antimicrobial Resistance & Infection Controlに掲載されました、「医療従事者における手指表面の被覆に関する2種類のアルコール手指擦式法の比較:準ランダム化比較試験」をご紹介いたします。
※こちらの文献はフリーアクセスでご覧いただくことができます。
日本で一般的に行われている手指衛生法はWHOの6ステップ法(以下、WHO6s方式)と比較すると手背指の工程(以下、インターロック)がなく、 「手首」の工程が追加されています(以下、A6Sw/oI方式)。今回の研究では、手指消毒を行った際の手指の表面被覆に関する二つの方法の違いを評価することを目的としています。 また、手のサイズ間での手指消毒剤の手表面被覆率の差についても分析しています。
評価については蛍光ローションを用いたAI(人工知能)による画像認識システムを用いて、客観的、定量的に判定を行っています。
427例の医療スタッフをWHO6s方式(215例)とA6Sw/oI方式(212例)に無作為に割り付けて手指消毒を行った結果、 WHO6s式およびA6Sw/oI方式による全体の平均手指背部被覆率は90.6%、88.4%であり(p<0.01)、 親指を除く4本の指の背部の被覆率が不十分な参加者の割合は0.0-7.4%、28.2-51.4%となりました(p<0.001)。
WHO6s方式は、手背表面、特に親指を除く4本指の背部の被覆率に関して、A6Sw/oI方式よりも優れていました。しかし、手指衛生を実施する場合は、それぞれの国の状況、病院の状況にあわせて正しい方法で実施する必要があります。また、今回国内の医療従事者において、初めて手の大きさによる手指消毒法の適用範囲の違いを評価しています。一般的に手指衛生の必要量として3mLと言われていますが、手の大きさを考慮し、正しい量を設定する必要があります。
また、使用感が良く手に馴染む手指消毒剤を使用することも手指消毒を継続していく上で重要と考えられます。