ワイプで感染症対策 – CLEENアプローチ!
英国GAMA Healthcare R&D のブログより転用
2024年8月22日の記事
研究/RESEARCH
画期的な新しい研究によると、院内で様々な患者さんに使用される医療機器(以下、共有医療機器)を1日1回以上消毒ワイプで清掃すると、病院内での感染が減り、命が救われるという。
感染管理は、常に医療の重要な焦点でしたが、新しい世界初の研究は、最も単純な対策でさえもどれほど大きな影響を与えるかを証明しています。
オーストラリアのAvondale UniversityのBrett Mitchell教授が主導したCLEEN研究は、画期的なランダム化比較試験で、共有医療機器を1日1回以上清掃することが患者の医療関連感染に大きな深い影響を与えることを示しました。
セントラルコーストの病院で行われたこの研究では、クリネル ユニバーサルとクリネル スポリサイダルを使用した強化清掃プロトコルを導入しました。この介入には、通常の清掃と併せて追加の清掃を行うだけでなく、効果的な技術に関する包括的な教育、そしてEvaluclean™監査システムによる清潔さの基準に関する綿密な監査とフィードバックも含まれていました。重要なのは、すでに過重労働状態にある医療従事者にこれを任せたのではなく、専任の清掃員が雇用され、1日3時間、追加で共有医療機器の消毒業務を行ったことです。輸液ポンプ、血圧計、点滴スタンド、歩行補助具などの品目にはクリネル ユニバーサルを使用し、便器や感染発生時にはクリネル スポリサイダルを使用しました。
これらの製品は、表面の微生物量を減らす効果が高いという理由で、意図的に選定されました。
これらの取り組みの効果を評価するために、研究者によって採用されたEvaluclean法は、医療機器の表面に蛍光マーカーのジェルを塗布します。これらの蛍光ジェルは、乾燥すると肉眼では見えず、特殊な光の下でのみ検出でき、徹底的な清掃を行わない限り除去できません。
介入前は、徹底的な清掃はまばらで、病院は医療機器に塗布された蛍光ジェルの約25%しか除去していませんでした。しかし、強化された清掃プロトコルの実施後(清掃員がこの作業にさらに1日3時間を費やす)には、この数字は65%にまで跳ね上がりました。
最も重要なのは、研究はすべての医療関連感染(HCAI)の34.5%の減少を記録したことです。この減少は統計的に有意で、HCAIの発生率は対照フェーズの14.9%から介入フェーズの9.8%に低下しました。さらに、清掃の徹底度も大幅に改善され、清掃された共有医療機器の割合は、介入中に18.2%から56.6%に上昇しました。この介入は、特定の感染症の減少にも効果的で、血流感染症、尿路感染症、肺炎、手術部位感染症が6.3%から4.0%に減少しました。
これらの調査結果は、全体的な状況から見ると大切な意味があります。Brett Mitchellらによる以前の研究では、オーストラリアの病院で毎年16万件の院内感染が発生していると推定されています。これらの感染の影響は経済的な問題だけでなく、これらの感染から生じる合併症により命が失われるなど、一人ひとりの人生に直結する課題とも言えます。
この分野でのランダム化比較試験は稀です。これは主に、研究結果に影響を与える可能性のある多数の変数を制御することの複雑さ、および信頼できるデータを得るには、大規模なサンプルサイズが必要になることによります。これらの課題を克服するには、かなりの投資も必要です。
GouldらはCLEEN研究を重要な成功として称賛し、その信頼性の高い設計と実践的な運用を強調しました。彼らは、この試験が適切に実行され、感染予防と管理(IPC)にとってその結果の重要性を強く訴えました。しかし、彼らは同時に、研究が単一の病院で行われたことなど、結果の一般化が制限される可能性があるなど、いくつかの限界も指摘しました。これらの制約にもかかわらず、この研究は厳密なIPC研究が達成可能であり、影響力があることを示す重要な一歩と見なされています。
CLEEN研究の意味するところは明らかです。病院は、清掃にさらに多く投資すべきであり、減らすべきではありません。CLEEN研究は、適切なツール、トレーニング、取り組みがあれば、病院は患者の安全に大きく寄与できることを示しています。この研究は、清掃手順の改善が、実質的な健康上の大きなメリットにつながることを強く思い出させるものです。
CLEEN研究の詳細は、こちらをご覧ください。
Karen Wares
クリニカル&サイエンスダイレクター、GAMA Healthcare