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Date:
2024.07.09
Category:
導入事例
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紫外線照射システム『UVDI-360』で耐性菌対策を。
導入事例 | 函館五稜郭病院様

写真:後列向かって左から:感染管理認定看護師(以下CNIC)山本様、山根様、川内谷様
前列向かって左から:加地副院長、中田院長
(以下、文中敬称略)

函館五稜郭病院は1950年開院の急性期疾患と循環器疾患を専門とする病院。

480床、27診療科目を有し、患者の早期社会復帰を目指した専門的治療とリハビリテーションに注力しており、地域医療連携も積極的に行っている。

UV-C 紫外線照射システム 『UVDI-360』の稼働率は全国でもTOP3に入る。

函館五稜郭病院では院長直下の感染対策部部門と運営首脳陣との信頼関係が、類を見ないほど強固な絆で繋がっている。

■ 『UVDI-360』導入前の課題と背景

− 導入前の運用や感染対策面で、どのような問題点がありましたか?

山根:当院では、委託の清掃員や看護補助者の職員が手作業で環境洗浄を行っています。事前に清拭に関する教育を実施していますが、人の手によるため、清拭の標準化には課題を感じていました。

また新型コロナが蔓延した際は「未知なるウイルス」という恐怖があり、スタッフの安全や心の問題を非常に心配しておりました。

■ モレーンコーポレーションとの出会い

− まず、 モレーンコーポレーション(以下モレーン)を知ったきっかけを教えてください。

加地:モレーンとの出会いは、2009年のインフルエンザパンデミック時に簡易隔離ユニット『Mintie』の紹介を受けたことがきっかけです。Mintieを導入したあとも、学会などで最新情報や新製品の提案をしていただきました。

山根:モレーンの名前はさまざまな学会で耳にしていましたが、初めて担当の方と関わったのは2013年のクリスマスの時期です。地域の他施設にも声をかけ、当院で環境清拭の勉強会を行ったときでした。

 − UVDI(紫外線照射システム)の存在は、どのように知りましたか?

加地:UVDI-360の実機は、2020年の環境感染学会の際(新型コロナが到来したとき)に、学会会場で初めて目にしました。

担当営業からは「紫外線(UV-C)によってコロナウイルスはもちろんのこと、広い範囲でウイルス、耐性菌対策ができる」という説明を受け、環境整備テクノロジーの進歩に大きな可能性を感じました。

当院は清拭の質の標準化に課題がありましたが、清拭後に紫外線を照射することで、質の標準化の先にある『薬剤耐性菌』対策にも繋がると確信しました。

写真:副院長 加地先生

『UVDI-360』の導入背景

− 導入までの経緯を、詳しく教えてください。

加地:新型コロナ流行前は、世界的に薬剤耐性菌が問題となっており、誰が清掃しても同じレベルで環境を清潔に保つことが求められていました。

そこで、まずは感染リスクの高い場所の精査から始めました。特に手術室は感染リスクが高く、常に清潔でなければなりません。当院では月に450件ほどの手術が行われています。UVDI-360の使用で手術室の回転効率が向上するのではないか?と中田院長に相談しました。

当院の中田院長は、感染対策の重要性に対して非常に理解があり、日々『感染対策はリスクマネージメント』と仰っております。私自身、さまざまな病院で診療を行ってきましたが、感染に対する意識は五稜郭病院が最も高いと感じます。導入を即座に決定したのは、感染対策の重要性を院長が強く認識していたからだと思います。

− 現場のスタッフの方からは、導入に関してどんな声があがっていましたか?

山根:当初、理解が乏しく『紫外線はあまり効果がない』というイメージがありました。導入に関して賛成派と反対派が5:5くらい。先生たちも「効果のエビデンスはあるのか?」と半信半疑な方も多くて。使ってみなければ分からない、という雰囲気がありましたね。

写真:CNIC 山根様

− 現場での運用責任者として、導入はしてみたいと思っていましたか?

山本:いつも感染対策に関する最新情報を届けてくれるモレーンの製品ということで、信頼はしていました。現場で必要なもの、これまでにないものを紹介してくれているので、今回のUVDI-360も「導入してみたい」「使ってみたい」という気持ちがありました。

写真:CNIC 山本様

山根:函館エリアは、地域医療を目指しています。そのため、UVDI-360は他施設の医療機関でも役に立つと感じ、興味のある他施設の方たちを呼んでデモンストレーションを行いました。私たちだけではなく、地域医療に関わる人たちみんなで「どんな製品なのか」共有できる機会が持てたことは良かったですね。

導入後の感想

導入後、『UVDI-360』をどのような場面で活用されましたか?

山根:メインはコロナ患者の使用したお部屋の清掃時に照射をしていました。常にフル稼働でしたが、使用したい病棟同士が声を掛け合って、少しでも待つことがないように効率よく稼働していました。

ただ正直1台では足りず、すぐに2台目の申請を出しました。そして2台目到着と同時に、市内の他施設でクラスターが発生。中田院長より「UVDI-360を貸し出して欲しい」と要望があり、持参いたしました。

現在、『UVDI-360』はどのように活用されていますか?

山本:現在は、患者さん退院後のターミナル清掃をメインに使用しています。次の人を受け入れるため、コンプリートクリーンの状態で入室準備が整ったという安心材料になっています。また多床室での照射は定期的に、採血室や発熱外来でも毎日使用しています。

山本:また当院は、院内に保育所があります。子どもたちがいない時間に保育士さんがお部屋全体や、子どもが遊ぶおもちゃなどに照射しています。広範囲にUV-Cが届く点がいいですね。

山根:以前、函館市内の他施設でクラスターが起きた際、中田院長の命により、1週間ほどUVDI-360を貸し出したこともあります。病室や廊下の高頻度接触面の照射する場所の確認、使用方法のレクチャーも行い、私たちがサポートしなくても現場の方だけで安全に使ってもらえるようにしました。感染対策の武器ともいえるUVDI-360をお貸しできたことは良かったです。

山本:その後、道内の他地域でもUVDI-360を導入したという話を聞きました。地域全体で感染対策へ取り組む、函館はその先陣を切ることができたと思います。

現場スタッフの方へ、使い方のレクチャーはどのように行っていますか?

山本:当初は私たちCNICだけが使用していましたが、ほかのスタッフも使えるようにレクチャーすることにしました。各病棟・外来から定期的に1名招集し、照射のやり方を教えています。レクチャーを受けた人が同部署の別の人に教える…といったやり方で、多くのスタッフがUVDI-360を正しく使用できるようにしています。

山本:UVDI-360の使用データは記録し、フィードバックを行うことで「うちも使ってみよう」という部署も増えました。「使いたいけれど、他所で使用中で空きがない」ということが頻発しないよう「UVDI-360使用スケジュール表」をつくり、活用しています。

− 『UVDI-360』の運用が徐々に定着していく中で、スタッフに変化はありましたか?

加地:精神的な面で、スタッフは安心感を持てるようになったと思います。

山根:「守られている」という感覚がありますね。

加地:新型コロナウイルスが流行した際、「得体のしれない病気」という怖さがありました。そんなタイミングでUVDI-360を導入したことで「守られている」という安心感が想像以上にあったのは事実です。

山根:コロナが落ち着いてからも、UVDI-360の使用頻度は変わっていません。むしろ使わないと落ち着かないようになりました。現在は、1日平均約13回稼働しており、この運転回数は全国でTOP3に入る稼働率と聞いています。

− 現場スタッフの方の、清掃の手間は変化しましたか?

山本:まず初めに物理的汚染の除去を目的とした環境清拭、その後照射を行うため、手間が減っているわけではありません。ただその分「安心感」は増えていると思います。

モレーン営業担当者との関係性について

− 営業担当者の印象や関係性について教えてください。

川内谷:業者さんというと構えてしまうものですが、モレーンの営業担当の方はフランクに話せる方。教えてもらえることがたくさんあると思っています。

写真:CNIC 川内谷様

山本:最初にお会いしたとき、とても若々しい印象だったので、本当に大丈夫かな?と少し心配になりました(笑)。でも困ったときはすぐに駆けつけてくれて、今ではいちばん頼りにしている存在です。

山根:小規模多機能ホームや、介護施設研修会に同行していただいたとき、現場の看護師の方から「楽しかったから、もう1回やってほしい」という声をいただきました。感染対策の学びの機会をつくることは、私たちだけでは難しい。いつもお力をお借りしています。

モレーンへの要望

− 今後、モレーンに期待することを教えてください。

加地:物流と機能性で考えると、国内生産・日本仕様の物が欲しいですね。新興感染症が発生すると、海外からの物流がストップする可能性があります。UVDI-360に限らず、消耗品を含めた物流ストップのリスクをいかに回避するか、現場の声として一緒に考えていただきたいです。その中で、日本の病院にマッチした機能性の良い製品が増えると嬉しいです。

感染対策に関する新たな製品や情報など、自院だけでなく、他地域の医療関連施設にも感染対策の重要性を伝えるべく、今後もサポートをお願いできればと思います。

■函館五稜郭病院 院長メッセージ

写真:中田院長

「当院では医療関連感染のリスクに対応するため、最先端の医療機器を導入しました。この技術は新型コロナウイルスが流行してからも顕著にその価値を示しており、他の医療機関への貸し出しを行うなど、地域全体の安全確保に貢献しています。

地域で比較的大きな組織として先頭に立つことで、地域全体の安心感を高めることができます。感染症は誰にとっても他人事ではありません。この危機感を共有し、多くの医師や看護師が中心となって日々感染対策に取り組んでくれていることに深く感謝しています。今後も正確で透明性のある情報発信を心掛け、地域医療の一翼を担っていくつもりです。」


▼プロフィール

住所 〒040-8611 函館市五稜郭町38番3号

  • 社会福祉法人函館厚生院 函館五稜郭病院
    中田院長 加地副院長
  • 感染情報管理室 感染管理認定看護師
    山根様 山本様 川内谷様
モレーン広報部

モレーン広報部です。最新情報をお届けいたします!