ひとり会議2022
代表の草場がお届けする社長ブログ「DEAR INFECTION PREVENTIONISTS」より、過去の記事を抜粋して掲載しております。
今日は年末恒例の「ひとり会議」をいつものように誰もいないオフィスで開催しました。
この1年を振り返り、そして来年をどうするかを妄想する自分にとって大切な時間です。
この年末、渋谷で打ち合わせがあったのですが、夜の繁華街は忘年会の人で溢れかえり、新型コロナの前に戻ったようでした。一方でお客さまの医療施設では全国的にクラスターが発生していて、医療従事者の感染による人手不足もあり、病床がまわらないという事態が多発しています。ご注文の製品群や量の変化で我々もそのご施設で何が起きているかをある程度予測することもできるようになり、我々のスタッフも年末ギリギリまで緊急対応も含め、走り回っていました。繁華街と病院、これが同じ日本での出来事かと今までにない感覚の年末を迎えています。
この1年であらためて思ったのは、これまで正しいと信じてきた感染対策に、実は人々を苦しめる側面があったということ。当たり前かもしれませんが、私には衝撃でした。このことは決してこれまでの対策が間違っていたということではなく、感染は防げたが人々が分断されてしまい、幸せではなかったという現実が多くの現場で起きていたということです。感染対策は本来、人々の幸せのためにあるべきです。介護施設の面会制限も厳しくせざるを得ない時期は確かにありましたが、標準予防策を介護者および面会者(一般生活者)に我々モレーンがしっかりと伝える術を持っていたら、リスクに応じて解除できたのではという反省は今も多くあります。
医療施設と一般生活者との分断は、医療では当たり前の「標準予防策」がもっと一般市民にも常識として伝わっていけば、犠牲者の方をもっと救えたかもしれません。飲み会でマスクなしで大声で大騒ぎしていた人がトイレで席を立つ時だけマスクをするという珍妙な風景も見られなくなると思っています。隔離封鎖の手法や目的も「安全」に加えて曖昧な「安心」のマージンを取りすぎて過剰なことをしていなかったか、リスクに応じてもっと違うやり方もあったのではないか。納体袋の件もこの年末にやっと解除になりましたが、不要となるまでずいぶん時間がかかりました。自分達の製品がご遺族との最後のお別れの妨げになっていたという事実には今も胸が痛み、思わず声が出そうになります。
今年、社内にペイン(お客様の痛み、解決すべき課題)を抽出し、ソリューションを導き出すためのチーム(ペイン・チーム)も発足させました。私直轄のプロジェクトチームですが、会社の文化としても定着すべく、毎週ワクワクしながらミーティングを重ねています。
このコロナ禍でSNSでも情報が氾濫、客観的事実が分かりにくくなっており、エビデンスベースの「事実であるかどうか」よりも「自分が信じたい、納得できるかどうか」が重要視され、論理ではなく感情が前面に出てくるような局面が本当に増えたと実感しています。企業組織のマネジメントに関しても人材の流動化が進み、多様化するチームのコミュニケーションの舵取りが難しくなってきています。そのため企業ではエンゲージメント(組織と従業員の相互理解度、相思相愛度)が注目され、そのエンゲージメントの高さが業績と相関があることが実証されており、モレーンも実は2018年から継続的にエンゲージメント・サーベイを全社員で実施して、対策を講じながら組織力を上げると共に、業績を伸ばしてきました。そのような経験からも、私は「組織力の高い病院は、医療関連感染にも強い」という信念にも近い仮説を持っています。実際、医療関連感染に強い病院は、例外なく優れたリーダーシップの元、高い組織力を有していると実感しています。結局、感染を予防するのはモノではなく、それに関わる人の行動です。この「医療関連感染に強い病院」を実現するためにどうすべきか、組織力を上げるために何をすべきかをDXのチカラも借りて行動を開始しています。ご興味のある方はぜひ、メッセージにご一報下さい。
今年のひとり会議では、この新型コロナが教えてくれた様々なペイン(痛み、解決すべき課題)を病院以外のセグメントも含めてあらためて書き出しながら、このスレッドも同時に書いています。今読んでいる本の影響もあるのですが、メタバースとは何か?病院を仮想空間に作ることは可能か?その場合、感染対策はどうなる???などなど、1日かけて、興奮しながら妄想を膨らませました笑。今度、誰か話を聞いて下さい笑。
アインシュタインの名言の中に、「想像力は知識よりも重要である」という言葉があります。今年も多くの方々に対面、そしてオンラインでもお会いして、たくさんの情報、気づきをいただきました。来年も1人でも多くの皆様にお会いして、明るい未来をご一緒に想像して、創造したいと思っています。
今年1年、お客様の皆様には本当にお世話になりました。皆様のご意見やアドバイスには大いに励まされ、勇気をいただきました。本当にありがとうございました。
新型コロナとの戦いはまだ続きますが、我々でお役に立てることがあれば年末年始にかかわらず、いつでもご連絡下さい。N95をはじめ、PPEは全てサプライチェーンを見直し、中国の感染爆発でも影響の出ないよう、対策を講じています。
来年が皆様にとって素晴らしい年になりますように深くお祈り申し上げます。
それでは良いお年を!
草場恒樹
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