2022年(令和4年)診療報酬改定における感染症対策関連改定事項の背景
■ 新興感染症対策重要性の再認識
2020年に発生した新型コロナウイルス感染症のパンデミックは現在も続いており、我が国における社会活動・経済活動に大きな影響を及ぼしました。
以後、現在に至るまでに、新型コロナウイルスに関する調査・研究が進み、予防、診断、治療等、その概要はかなりわかってきてはいますが、 医療機関および医療従事者に大きな負担となっている状況に変わりはありません。
新型コロナウイルスパンデミックの経験から、新興感染症や多剤耐性菌によるアウトブレイク等、医療機関における感染症対策は、 これまで以上に注目され、その重要性が改めて認識されています。
今回の診療報酬改定では、感染対策に関する大きな改定が加えられました。具体的には「外来感染対向上加算」が新設され、 それまでの「感染防止対策加算」から「感染対策向上加算」への名称変更ならびに要件の見直しが行われました。
■ 新興感染症等の対策に係る評価の主な見直し
感染対策に係る評価の新設
1. 外来感染対策向上加算の新設
✔︎ 診療所について、平時からの感染防止対策、の実施や、地域の医療機関等が連携して実施する感染症対策への参画 (発熱患者の外来診療等を実施する体制)を更に推進する観点から、外来診療時の感染防止対策に係る評価として、外来感染対策向上加算を新設
✔︎ 中核的な医療機関である、感染対策向上加算1に係る届出を行っている他の保険医療機関に対し、 定期的に院内の感染症発生状況等について報告を行っている場合の評価として、連携強化加算を新設
✔︎ 地域のサーベイランスに参加している場合の評価として、サーベイランス強化加算を新設
2. 感染対策向上加算の改称・新設
✔︎ 感染防止対策加算を感染対策向上加算に改称し、 平時からの個々の医療機関等における感染防止対策の取組や地域の医療機関等が連携して実施する感染症対策の取組を更に推進する観点から要件を見直し
✔︎ より小規模の感染制御チームによる感染防止対策に係る評価として、感染対策向上加算3を新設
✔︎ 感染対策向上加算1に係る届出を行った医療機関が、感染対策向上加算2、感染対策向上加算3又は外来感染対策向上加算の医療機関に出向いて感染症対策に関する助言を行った場合の評価として、指導強化加算を新設
✔︎ 感染対策向上加算2又は感染対策向上加算3に係る届出を行った医療機関が、感染対策向上加算1に係る届出を行った医療機関に対し、 定期的に院内の感染症発生状況等について報告を行っている場合の評価として、連携強化加算を新設
✔︎ 地域や全国のサーベイランスに参加している場合の評価として、サーベイランス強化加算を新設