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Date:
2021.09.21
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HCAI (医療関連感染)を減らすための臨時の患者隔離室の費用対効果

英国GAMA Healthcare R&D のブログより転用
2021年8月23日投稿の記事
研究/RESEARCH

本記事では、接触および飛沫予防策対象の患者をフレキシブルかつ瞬時に隔離することができるように設計された可動式の部屋「Rediroom」の機能特性を調べた最近のオーストラリアの研究をレビューしています。

■ Rediroomの費用対効果

最近発表された研究は、HCAI(health care-associated infection)のリスクを減らすためのRediroomの費用対効果について検討しています。

研究チームはRediroomの導入によってHCAIがどれだけ減少するかを推定し、この減少による費用対効果を獲得生存年(life-year gained:LYG)あたりの増分費用を評価することでモデル化しました。LYGとは医療経済学の指標であり、治療を受けた結果、その人が生きられる年数が追加されることを表しています。

LYGあたりの増分費用は5,829ポンドであり、追加LYGあたりの標準的な閾値である20,000ポンドをはるかに下回っています。したがって、RediroomはHCAIを減らすための費用対効果が高いと考えられています。

■ NHS (英国の国民保健サービス)でのHCAIの発生率はベースラインコストの推定に役立った

この研究は英国のNHSからの視点で行われ、現在のNHSにおけるHCAIの発生率がベースラインコストの推定に使用されました。一人部屋の割合を増やすことに関連した臨床結果を評価した研究に基づき、RediroomによるHCAI減少効果を30%と設定しました。また、Rediroomの導入に伴うHCAI減少の推定値にはかなりの不確実性があることを考慮し、この推定値を0〜100%の間で変化させ、費用対効果の影響を検討しました。

関連研究:Rediroomがどのようにして患者の動きを改善し、HCAIのリスクを減少させたか

■ RediroomによるHCAIの減少率を(30%ではなく)16.5%に減らしたとしても、この介入は費用効果が高いでしょう

RediroomによるHCAIの減少率を(30%ではなく)16.5%に減らしたとしても、この介入は費用効果が高いでしょう HCAIの減少率を30%とした場合、NHS病院で10万占有ベッド日(occupied bed days:OBD)あたりに臨時の隔離室を導入するために推定される費用の平均は150万ポンド、HCAIの減少に伴う総費用の変化の平均は110万ポンド、LYGあたりの増分費用の平均は5,829ポンドと推定されます。このLYGあたりの費用は、標準的な「支払意志額(買い手がここまでなら支払っても良いと考える価格)」のLYGあたりの閾値である20,000ポンドを大きく下回っており、このモデルは、RediroomがHCAIを(30%ではなく)16.5%減少させたとしても、介入による費用対効果が高いことを示唆しています。

全てのモデルと同様に、使用されるパラメータにはかなりの不確実性があり、それによって結果が大きく変わる可能性があります。今回の場合、臨時の隔離部屋がどの程度HCAIを減少させるかについては、あまり確たるデータがありません。しかし、モデリング環境の強みの1つは、このような不確実な推定値を変化させて、考えられる影響を把握できることです。今回のケースでは、HCAI減少率をかなり控えめに16.5%と推定しても、Rediroomの導入は費用対効果に優れるという結果がでました。

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